ラボ・研究室の災害対策ガイド
日常における災害対策
1.各種インフラの重複整備
電気
無停電電源装置及び自家発電装置の検討・配置 (複数台) |
太陽光発電、蓄電池の検討・配置 |
水
浄水ろ過装置、淡水化装置等の設置 (雨水・井戸水・河川水の転換利用) |
サーバー
重要データのバックアップの徹底 |
遠隔地へ待機系サーバーの設置 |
排気・排水処理
停電時の近隣への漏えい対策の措置(スクラバー・排水処理装置など自家発装置への接続) |
2.研究施設内の対策
窓
落下・飛散防止フィルムの施工 |
付近の重量物・高価な機材の撤去 |
薬品・サンプル
適切な薬品収納の徹底( 薬品保管庫、仕切り板、液だれ防止トレー、蓋の閉め忘れ防止) |
混触発火、有害ガス発生等の危険性のある薬品等は隔離保管 |
溶媒廃棄物のラボ内からの撤去 |
不使用時の病原体、危険物質等封じ込めの徹底(漏えい防止) |
予めフリーザー内の貴重なサンプルとそうでもないものを別けておく |
機器
ガスボンベ転倒防止の徹底 |
ヒュームフードサッシ閉め忘れの徹底 |
各種ユーティリティの機器へ接続をフレキシブル配管 |
卓上型高額実験装置を実験台へ固定(固定ジェルマット・転倒防止ベルト) |
フリーザー、インキュベーターの扉施錠またはテープ固定 |
バックアップ用液体窒素タンクの準備(スタンバイモード) |
ウォーターバスの電源停止と水抜き他、不使用機器の電源OFF |
重量機器は低位置に配置 |
NMRのクエンチによる窒息対策、酸素濃度計の確認の徹底と強制排気装置の動作確認 |
動物飼育施設
ディスポーザブルケージのストック |
餌、床敷き、クリーンケージ、給水済みボトルのストック |
飼育ラック同士の連結固定、転倒防止チェーン |
トランシーバー、懐中電灯・救急セット等を各所に設置 |
実験台・キャビネット等 収納棚
転倒防止金具の取り付け(直接固定・L字金具・つっぱり器具) |
保管庫扉、実験台引出し、移動ユニットの飛び出し防止措置(扉ストッパー・安定板) |
ガラス窓に飛散防止フィルムの措置 |
出入り口付近の重量物撤去(避難経路の確保) |
移動式収納保管庫に免震ベースの導入 |
エレクターシェルフ(セーフティーポール・シェルフ同士の固定・転倒防止チェーン) |
緊急シャワー・防災用品
緊急シャワー・洗眼栓、救急セットの場所・使用方法の確認 |
上記設備などの定期検査実施 |
薬品吸着パット、ヘルメット、懐中電灯などの準備 |
その他
サンダル、スリッパは避け避難しやすい靴を常用する |
3.研究施設としての対策
災害相互援助体制の確立
立地条件の異なる研究機関との緊急時援助協定の締結 |
災害発生時の対応
避難前・避難時の行動※身の安全確保が最優先です!
地震の揺れを感じた場合は直ちに実験・作業を中止する |
ガスバーナーの停止、火の始末 |
出火、引火性物質、溶媒のこぼれ有無の確認。可能な範囲で初期消火の実施 ※初期消火 … 消火器または吸着パッド等で消火 |
局所排気装置(ヒュームフード・安全キャビネット等)のサッシを閉める |
NMRでクエンチが発生した場合はすばやく窓・ドアを解放し避難 |
(必要に応じ)実験材料の避難 |
防災用品(ヘルメット、懐中電灯など)・救急セットの確保 |
(室内からの全員の避難確認後)施錠 ※地震発生の場合、直ちに実験・作業を中止する ※実験よりも人命最優先(実験データへの直接・間接的影響の可能性を考慮すると、大きな地震発生時の実験データは客観的にみて信頼性が劣る) ※初期消火は無理をせず、困難な場合は直ちに消防署へ連絡 |
災害後の対応
機器運転状態の確認・メンテナンス※不明な点はメーカーに問合せを行う
ヒュームフード
機器配置場所からの移動ズレ確認 |
排気ダクトの接続確認 |
各種ユーティリティの配管破損や緩みの確認 |
バッフル板の破損確認 |
前面サッシの稼働確認 |
運転性能検査(面風速、封じ込め性能) ※ASHRAE 110 Fume Hood Testing |
オートクレーブ・洗浄機
機器配置場所からの移動ズレ確認 |
異音・異臭、液体漏れの確認 |
シール部の破断、バリア確保の確認 |
電源状態確認、蒸気・洗浄水の供給確認 ※異常が見つかった場合はメーカーに連絡 ※代替滅菌方法を検討(過酸化水素滅菌、電気式滅菌 ほか) |
安全キャビネット
ガス配管の破損、接続部の緩み確認 |
B2タイプ:排気タクトの接続確認 |
前面サッシの稼働確認 |
運転性能検査(封じ込め性能、HEPAリークテスト) ※NSF Standard49-2002 field testing |
空調システムの停止
(必要に応じ)立ち入り制限の実施 |
消毒薬での洗浄、ガス滅菌の実施 |
エアーサンプリングの実施 |
定点拭き取り検査の実施 |