経済の原動力としての工業地帯は、現代社会においては必要不可欠ではあるが、安全性の確保から比較的関係者以外の目に触れにくい場所に立地される。また工業生産という明確な目的のため、不必要な外面的な演出はそぎ落とされメカニカルな光景で統一されがちだ。 計画地である千葉県袖ケ浦市は国内でも有数の工業地帯であり、やはりいくつもの煙突や配管ラックなどこの地域特有の景観が形成され、どこかノスタルジックなSF的な雰囲気も漂っていた。我々はそんな景観に色を添えたいと思った。
鮮やかで強い色は周囲の煩雑さやさまざまな環境の変化の影響を受けにくい。また人は色を見るだけで静かな気分になったり、高揚したり、不安を軽減したり、色には心に感情を与える不思議な力が宿っている。合成化学の研究環境は周囲の景観と同様に多くの装置やフュームフードが設置されるため無機質になりがちだ。色彩はそれらを引き立たせない効果がある。
夜になると建物中央部に内包されたパブリック空間が色鮮やかに灯り、昼間には見られない魅惑的な表情が浮かびあがる。
プラナスが近年手がけた研究所について、設計コンセプトやプロジェクト背景などを絵と写真と文章でご紹介しています。お気軽にご請求ください。