シンコペーション
クライアントは本社・研究・試作機能を一つの建物にまとめ、開発の効率化を図りながら、新たなイノベーションを創出する建物を求められた。敷地は住宅地に面するため、近隣住宅との見合い、圧迫感、距離感とボリューム感の制御が必要であった。外観はミニマルでスクウェアな佇まいとし、近隣との見合いの軽減と研究所としてのセキュリティを担保すべく、横連装の窓を採用した。
リラックスできる場所では座った時に視界が抜けたり、集中するデスクエリアでは立った時に視界が抜けたり、明かり取りだけ必要な場所にはハイサイドなど、それぞれの室の要求に応じて窓の開口位置を調整し、均質な窓のリズムに微妙なズレを挿入した。「中の人」と「外の人」どちらにとってもの心地のいいひとつの答えである。
またオフィスゾーンとラボゾーン、試作ゾーンをそれぞれキュービックな形状で雁行させ、ズレによってうまれた空間にラウンジスペースを設け、日常的なコミュニケーションの質と量の向上を図った。このズレによる建物の分節により、周囲に対するボリューム感の軽減を図っている。本プロジェクトでは建築におけるさまざまなコントラストをほんの少しズラすことで、躍動感あるシンコペーションを効かせた音楽のような建築を目指した。
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