工業地域のイメージを払拭する
デザインと機能美
大阪西九条駅から桜島駅へ延びるJRゆめ咲線。もともとこの路線は臨海部の工場へ貨物などを運ぶための線路だったようだ。しかし、ユニバーサルシティの建設に伴いすっかり観光路線に役割を移し、周辺環境も大きく変貌を遂げつつあった。クライアントは、最前線の医療ニーズにスピーディーに対応すべく、これまで分散していた各研究機能を一つにまとめる創薬研究所をこの沿線沿いに建設する方向で決めた。
我々は、この沿線沿いに建設することは広告塔として機能すると同時にグローバルに人材を獲得する上でも、周辺で未だ残る閉鎖的な工業地域のイメージを払拭するデザインにすべきと提案し、想いがクライアントと重なった。
その後、基本構想から設計そして建設完了までおよそ4年間にわたって研究者を含めプロジェクトメンバーと共に探索から生産、サポートまでシームレスに連携するプラットフォームのあり方を追求した。特に研究者同士のインタラクションには細心の注意をはかった。いわゆるコミュニケーションエリアといったお膳立てされた付加的な場は機能しない。逆にインタラクションの障害をうむ距離感、雰囲気、空気感の排除を大切にした。
空気といえばこの研究所では数百台のヒュームフードを使用する。ここから排気される空気を効果的に抑制し省エネを実現することが研究所としての我々のこだわる機能美だ。最先端の制御技術、センサーシステム等を多用し、化学研究所でありながらCASBEE(建築環境総合性能評価システム)大阪 Aクラスを取得した。
プラナスが近年手がけた研究所について、設計コンセプトやプロジェクト背景などを絵と写真と文章でご紹介しています。お気軽にご請求ください。