循環するリズム
古い工場を増改築するフルリノベーションプロジェクトである。サスティナブルなグリーンラボを推進する同社のものづくりの姿勢を建築として表すべく、4R(リデュース・リユース・リサイクル・リファイン)を骨子に定めてプロジェクトはスタートした。
既存の工場の鉄骨部と外壁を可能なかぎり流用したいが、一般的に工場建築で使われるALCという外装材を剥がす際は重機を使用するため多くは破損し、再利用は極めて困難である。しかし、今回は解体を慎重に行うことで30%程度のALC材を確保することができた。これを再度ランダムに外壁に戻し、できた隙間の開口部に光や風を通す窓と新しいALC材を組み付けた。結果、外壁がフィルターのような機能となり、工場の大空間に不均一な窓から差し込む木漏れ日のような光が日中の照明負荷を軽減し、工場特有の均質な環境にリズムと活気を創み出している。
メーカーにとっての付加価値が「もの」そのものから、より複雑なソリューションやサービスへとシフトし、IoTを始めあらゆる意味での「つながり」が求められている。特に産学連携やオープンイノベーションなどといった様々な形での共創が展開できるように、エントランスにはカフェのようなミーティングラウンジを計画した。もともとは一つの大空間であったため、そこにロフトを作りミーティングに相応しいヒューマンサイズの空間を作った。また数十種類の家具を配し、賑やかさを演出するとともに、気分やシーンに合わせて好みの場所を発見するのだ。
プラナスが近年手がけた研究所について、設計コンセプトやプロジェクト背景などを絵と写真と文章でご紹介しています。お気軽にご請求ください。