正門を潜り樹木のある丘の中へ中へ
キラキラとした木漏れ日を感じながらスロープを上がると忽然と視界が開く
雲の流れ、空の広さ、木々のあいだを抜ける風、小鳥のさえずり
冬がそこまで来ているのに気づく
デッキでは研究者や学生が思い思いに寄り添い集う
心地よい空気に包まれ室内に入ると、木軸のストラクチャーと無垢の木の温もりのある実験家具が優しく包み込む、ラボからは緑あふれる景色が広がる。
内と外の境界線が曖昧な、自然と融合したラボラトリー。
クライアントは発生再生研究の分野で著名な辻孝教授だ。初めて教授と会った時を今でも鮮明に憶えている。
数社を集めて新研究棟についてのプレゼンによるコンペだった。我々がプレゼンをしていたところ15分程度で止められたのだ。何か失礼なことでも言ってしまったのか・・・。ところが「もうプラナスに決めたよ」と教授。
そこから設計をスタートしたが様々な要因で建設地、規模、予算が何度も変わり計画が遅々として進まなかった。それでも教授は研究環境が研究者や教え子、未来の教え子たち、ひいてはアカデミアにどれだけの影響を与えるか知っていた。その異常なほど強い想いと理解(当時から教授室に建築雑誌があったのだ!)に我々もしつこく提案を重ねたことを今では懐かしく思う。
プラナスが近年手がけた研究所について、設計コンセプトやプロジェクト背景などを絵と写真と文章でご紹介しています。お気軽にご請求ください。